「育児短時間勤務」制度とは?仕事と育児を両立しよう!

育児短時間勤務とは?

正規採用されている教職員には、産前産後休業(産休)、育児休業(育休)といった職場に籍を置きながら、出産や子育てをするために休みを取ることができる制度も整っています。

まもなく産休が終わるという教員も読者の中にいるかもしれませんが、育休が終わったといっても子どもはまだ2、3歳程度であり、そこから「フルタイムで働くのは不安」と感じている方もいるのではないでしょうか。そんな教職員が利用できる制度に「育児短時間勤務」や「部分休業」があります。今回は、仕事と育児の両立の助けとなる様々な制度について解説していきます。

どんな制度なのか知っておこう!

育児短時間勤務や部分休業について知らない人も多く、後になって「そんな制度あったの?」と驚く人います。子育てをしている女性だけでなく、男性も取得できる制度です。どんな制度なのか、内容を理解して、必要な時に利用できるよう準備しておきましょう。

育児短時間勤務制度

育児短時間勤務制度は、育児休業法第10条に定められている制度で、『職員は小学校就学の始期に達するまでの子を養育するため、当該子がその始期に達するまで、常時勤務を要する職を占めたまま、次のいずれかの勤務形態により勤務することができる。』とされています。制度ができた背景には、女性が出産後も働きやすい環境を整えることによって、出産や育児を理由として退職することを防いでいます。

教員の場合は、自治体の条例によっていくつかのパターンの勤務形態が用意されています。代表例としては

 ①週19時間35分(週5勤務の場合 1日3時間55分)

 ②週24時間35分(週5勤務の場合 1日4時間55分)

 ③週23時間15分(週3勤務の場合 1日7時間45分)

上記のようになっており、申請者は、いくつかの中から勤務条件を選択します。

育児短時間勤務を利用することができるのは、「原則1か月以上1年以下」とされていますが、子どもが小学校に入るまでの期間に適用される制度なので、2年目以降も延長できる可能性もあります。制度の申請や勤務形態の変更を求める場合には1か月前までの申請が必要です。育児短時間勤務となった場合の給与については、正規の給与を支払う勤務時間から短時間勤務の勤務時間に合わせて調整され、支給されます。

参考文献:地方公務員の育児休業等に関する法律 | e-Gov法令検索,https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000110,(参照2023-05-16)

参考文献:育児短時間勤務に関するQ&A,https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2001871.pdf,大分県教育人事課,(参照2023-05-16)

部分休業

部分休業は、育児休業法第19条に定められている制度です。

『任命権者は、職員が請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、条例の定めるところにより、当該職員がその小学校就学の始期に達するまでの子を養育するため1日の勤務時間の一部(2時間を超えない範囲内の時間に限る。)について勤務しないこと(以下「部分休業」という)を承認することができる。』とされています。

育児短時間勤務との併用はできませんが、正規の時間で働きながら30分単位で勤務しない時間を請求することができます。例えば7時間45分の勤務時間のうち、1時間部分休業を取得し1時間早く帰る方法や、勤務開始前と勤務開始後に30分ずつ取得することもできます。給与は勤務しない分を減額して支給されることになります。

参考文献:15 3 部分休業について Q1 部分休業とはどのような制度ですか? A1 育児と仕事の両立を,https://www.pref.miyagi.jp/documents/16961/3-bubunnkyuugyou.pdf,宮城県教育委員会,(参照2023-05-16)

早出遅出勤務

次に「早出遅出勤務」を紹介します。勤務時間の割り振りは校長先生の権限で行うことができ、行事の際には一般職員にも適用されることがあります。育児に関しても、小学校就学の始期に達するまでの教職員や子のお迎えが必要な教職員に対して適用することが可能です。勤務時間のスタートは午前7時以降、勤務終了は午後10時以前に設定する必要がありますが、30分や1時間単位で勤務の開始を前倒ししたり、後ろにしたりすることができます。育児短時間勤務や部分休業と異なり、勤務時間を減らすことはないので給与面はフルタイムと同じ金額が保証されます。

子の看護のための休暇

短時間勤務とは異なりますが、一時的に休みたい場合に利用できるのが「子の看護のための休暇」です。小学校就学前の子が負傷または病気のために看護が必要となると『年5日以内』(子どもが二人以上の場合は10日以内)の休暇が取得できます。

子育てをしている教職員にはさまざまな勤務制度が用意されています。育児短時間勤務制度が利用できなくなっても「部分休業」や「早出遅出勤務」など多様な働き方があることを覚えておきましょう。利用するにあたっては、人事や学年配当などに影響を与える可能性が大きいので管理職と相談しながら準備を進めていくことがおすすめです。

サポートも充実している

職場によっては、人手が少なくて「育時短」や「部分休業」は取りにくいと思っている職員の人もいるかもしれません。しかし、取得したほうが取得者だけでなく学校側にもメリットがあるようにサポートされています。

まず、学校側としては校務分掌などの配慮ができます。年度の途中で分掌の変更をするとなると非常に大変ですが、年度のスタートの段階でわかっていれば事前に配慮をすることができます。さらに春に行われる教職員の人事配置においても、配慮をすることができ、正規職員を多く配当することが可能になります。具体的なサポート策としては

・担任から外し学年配当とする

・部活動などの指導者から外す

・教科の持ち時間数を制限し、勤務時間外業務にならないようにする

上記のような対策をします。育児短や部分休で正規職員の休む時数分は講師が割り当てされます。

取得者にとっては研修制度などに免除制度が生まれます。時短勤務者や部分休業を取得している人に対して、校外へ出て行っての研修を実施させるのは困難です。また、学校外で行われる自治体から委嘱される業務をすることも難しい状況になります。学年所属の配慮や部活動への関りなど、働きながら育児もできる環境を整えてもらえるのは大きいです。

男性も取得可能 ルールを理解して申請する

育児休業から育児短時間勤務、部分休業を取得できるのは女性だけではありません。実は男性側も取得することができます。ここ数年、男性の育児休業や育児短時間勤務を取得する人も増えており、両親で子育てをしていくという人も増えています。申請をするためには事前に管理職と相談をする必要もありますが、国としては男性の育児参加を促しており、取得に向けてのハードルは下がっています。子育て期間しかできない貴重な経験なので男性も積極的に取得を考えましょう。

仕事と家庭を両立させるための制度

核家族化が進み、母親が一人で子育て、仕事をするのはとても大変な状況になっています。学校現場としても職員が減るのは戦力として大幅にダウンとなりますが、働くことができる部分で働いてもらうことができれば大きな力となります。フルタイムの状態から一度退職をしてしまうと復職するのは非常に大変になります。制度は利用するために設けられているので、積極的に活用しましょう。

最新情報をチェックしよう!