【徹底解説】教員採用試験の難易度と試験を有利に進める方法

教員採用試験を受ける予定の方が気になるのが、試験の難易度です。この記事では、教員採用試験の受け方や難易度、アルバイト歴や院卒はアドバンテージとなるのかについて解説していきます。

教職の資格の取り方

はじめに、教員採用試験に挑戦するためには、まず教職に必要な単位を大学で取得しなければなりません。教職の資格を取るためには、大きく二つの方法があります。

一つ目は、大学に設けられている「教育学部」等、各都道府県にある教員養成を専門とする国立大学・または私立大学へ進学し、小学校・中学校等の資格を取得する方法。

二つ目は、大学の各学部学科で、専門の勉強とは別に教職に必要な科目を履修することです。
理学部なら理科の教員、家政学部なら家庭科の教員など、中学・高校の専門教科を指導するための資格を取得することができます。

このように、どちらも教師になるための資格を取得することは可能ですが、一般大学では「教職」を選択する学生は通常の科目の単位を取得する以外に資格のための授業を受講するため、成績的にも経済的にもある程度の余裕を必要とします。

教職の資格取得の難易度

近年、大学側の「教職を取るよりも専門的な研究や学びをしてほしい」という意向が強まり、大学生の教職資格取得者が減少傾向にあります。
また、大学の時間割の中で教職に必要な授業が七・八時限目や土曜日にある等、大学生としてはあまり取りたくない時間や曜日に設定されています。
それに加えて、教職を取る学生から通常の授業料のとは別に受講料を取っている大学もあります。

以上から、大学で留年をしないように、単位を落とさないようにといった最低限の成績を取っている学生にとっては教職の資格を取ること自体が大変難しくなっています。

さらに、大学3年生までの成績によっては、最終学年で教育実習に臨む権利を与えてくれない大学が大半です。どの大学でも、必然的にまじめで優秀な学生だけが教職の資格を取得できるようになっています。

そして、大学生はこの段階で、一般の教員採用試験で出題される「教職教養」の勉強をすることができます。
この教職教養というのも、専門的な他の勉強と違って得手不得手が分かれるため、法律が苦手、心理学が苦手という方はダブルスクール(教員になるための予備校や塾に通う)をしている学生もいます。

そこまで時間やお金をかけることができないという学生は教員採用試験の過去問を用意し、自身の力で勉強をすることになります。

アルバイトや一般企業の終活、一般公務員試験と教員採用試験を掛け持ちで受ける、という人はかなり優秀な人です。教員採用試験の合格者の多くは、教員採用試験に集中した人となります。

公立教員か私立教員かで変わる試験の受け方

教員採用試験には、公立・私立の二通りの試験があります。

公立の教員を目指す場合

公立の採用試験にも選択肢があり、神奈川、千葉、埼玉など「政令指定都市」がある県では、県の採用試験の他に、政令指定都市での採用試験があります。例えば、「横浜市」「川崎市」「千葉市」「さいたま市」などです。

採用後は市内の小中学校の教員となり、全県の採用とは異なります。予算も市費になるため給与も違うことがありますが、認知度が低いため、競争率が全県よりも低い場合があります。
また、政令指定都市では高校の採用試験はないため、高校教員を目指す人は受けることがありません。

採用試験の多くは近隣で同日に行うため他との併願ができないことがありますが、政令指定都市の場合は別日に採用試験を設けていることもあり併願が可能な場合もあります。公立の教員を目指す方は、県の採用試験のホームページだけでなく政令指定都市の採用試験も調べておきましょう。

また、採用試験は県や市独自のものになります。試験をする自治体によっては、先に模擬授業を行い、そこで合格してから筆記試験という場所もあります。実技科目では、実技試験がある自治体とない自治体があります。

過去問については、採用年によって突然傾向が変わる場合もあります。こういった不測の事態を想定し全ての試験に対応できるようにしておきましょう。模擬授業と面接はほとんどの自治体で実施しています。筆記試験以上に重視している自治体もあるので、しっかりと練習をしておくことも大切です。
模擬授業の対策は下記の記事でも載せていますので参考にしてください。

私立教員を目指す場合

教員なら公立・私立を問わないという人は、私学との併願もおすすめします。公立の教員を目指す人でも、私学の採用試験を受けておくことは決して損ではありません。そして、「講師」「非常勤講師」を経験してから公立にチャレンジするという方法もあります。

私立の教員では初めから「専任教員」として採用を決めるのは簡単ではありません。公立は受かっても進学校や有名校の私立は受からない、というのが常識になっています。採用試験の方法は公立と同じように、筆記試験・面接という二段階が一般的です。しかし、私立では模擬授業を行う学校と行わない学校があります。

私学の採用については、一年を通して色々な時期に行われています。夏に採用試験を行う学校が多くありますが、5月頃に実施する学校、10月頃に実施する学校、中には12月過ぎに実施する学校もあります。

公立よりも早い学校は、公立の試験の練習にもなります。内定が出れば安心材料にもなるので、チャレンジすることをおすすめします。公立の後に実施する学校は、公立の採用待ちの大学生に先に内定を出して確保したいという考えもあります。

実際に採用が決まったら、配属先が不本意な学校だった、ということもないわけではありません。そのために私立に流れるという方もいれば、自分が理想とする授業を行うために私立を目指す方もいます。

また、専任の採用試験では不合格になっても、講師として声がかかることもあります。最後まであきらめずにいる態度も大切です。

塾講師や家庭教師は教員採用試験に有利?

確かに、塾講師や家庭教師をしていると授業のためのスキルは上がります。しかし、学校や保護者、子供たちの変化に伴い、新人教員に求める能力にも変化が見られます。人としての常識や応対マナー等です。

教員になると、授業以外の部分の仕事も多く発生します。
最近では、周辺住人への応対や保護者への応対でトラブルが生まれることが少なくありません。
教員は、子どもたちに近い存在の大人という意味でも特に人として当たり前のマナーや常識が求められるため、塾講師や家庭教師だけでなく、一定の社会経験を積んでいるとプラスに働くでしょう。

複数科目の免許保持者と大学院卒のアドバンテージ

教員採用試験では、複数科目を教えることができると有利に働きます。特に中学では、クラス数が少ないと複数科目を教えることができる教員は大変重宝されます。主に技術と数学・理科と家庭科といった人材です。

大学によっては複数の科目の免許を取得できる場合があります。免許を持っていると採用時に有利になりますので取得しておきましょう。

さらに、東京都では大学院卒を優先して採用しています。教員免許の場合、大学卒は「一種」院卒は「専種」になります。レベルの高い進学校では院卒の採用を積極的に行っているため、有利というだけでなく、大学院在学中に私学などで非常勤を経験し、そのまま公立の採用試験を受ける、私立の採用試験を受けるという方法を取ることができます。

教員採用試験に不合格になったとしても

教員採用試験を受けに行くと、幅広い年代の方が受験をしています。現在、ほとんどの自治体で50歳までの方の受験を認めています。

そのほとんどは非常勤講師の経験者のため、どうしても模擬授業の試験では、現役で教壇に立っている人には敵わないと感じることもあるでしょう。しかし、たとえ1回目が不合格でもチャンスはまだまだいくつもあります。

例えば、公立の試験が不採用でも、3月頃に公立の常勤講師、私立の常勤講師、非常勤講師という立場での採用の連絡があります。公立にこだわる場合は、公立を選びましょう。公立の常勤講師や非常勤講師、産休代替教師を続けていると、採用試験の時「校長推薦」というものをもらうことができます。

もちろんこちらは確約ではありませんが、一般の方が受験をするよりも有利となります。また、校長先生自らが採用試験の指導を行ってくれる場合もあります。途中で投げ出さず、何度もチャレンジし、10年がかりで公立の採用試験に合格するという教員は、本採用になってもしっかりと授業をすることができます。

私立の場合も同様、非常勤で採用された学校にそのまま専任教員として採用が決まる、他の私立から声がかかる、ということは珍しくありません。本気で教員になりたいと思ったら、一度ダメでも諦めず何度でも挑戦してみましょう。

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