「愛し合うとは、互いに見つめ合うことではなく、お互いに同じ方向を向くことである。」
フランスの作家サン=テグジュペリの言葉として知られるこの一文は、カスタマーハラスメントが社会問題となる今の教育現場にも、大きな示唆を与えているのではないでしょうか。
近年、学校現場では、保護者から教員への過度な要求や、長時間にわたる苦情、威圧的な言動などが問題となっています。
一方で、保護者からすれば、わが子の学校生活や成長に関わる問題だからこそ、学校に真剣な対応を求めるのは当然です。
学校側も、保護者の声を単純に「クレーム」として退けてはならないし、カスタマーハラスメント防止対策を盾に無下にするべきではありません。
だからこそ必要なのは、教員と保護者が「対立する当事者」にならないことです。
保護者は学校の「カスタマー」ではありません。学校もまた、保護者に教育というサービスを一方的に提供するだけの「サービス業」ではない。教員と保護者は、ともに子どもの成長を支える協力者です。
もちろん、学校には説明責任があり、保護者の意見に耳を傾ける姿勢が求められます。同時に、教員にも限界があり、人格を傷つけるような言動や、過剰な要求まで受け入れる必要はありません。
互いの立場を尊重しながら、対話によって解決を目指す関係を築くことが重要です。
そのとき、私たちが共通の問いとして持つべきなのは、「どちらが正しいのか」ではありません。
「どうすれば、この子の成長につながるのか」ということです。
この問いを共有できれば、教員と保護者は、互いを責める関係から、ともに知恵を出し合う関係へと変わることができるのではないでしょうか。
学校で起きるさまざまな問題についても、「学校対保護者」という構図ではなく、「子どものために、学校と家庭がどう協力するか」という視点から考えられるはずです。
教育は、学校だけで完結するものではありません。家庭だけでも成り立つものでもありません。子どもの発育・成長には様々な要因が複雑に絡み合っています。
カスタマーハラスメントへの対応が求められる今だからこそ、私たちは責任を問い続ける関係を見直す必要があるのではないでしょうか。
大切なのは、「子どもを中心にどう協力するか」を考え、子どもの未来という同じ方向を共に向くことです。この星の未来を担う王子さまが、希望を見出し、進むべき方向を見失わないために。