法定研修の初任者研修では何をする?目的は?

教員として採用され、仕事を始めるようになると受けなければいけない研修が「初任者研修」です。日々の業務を行いながら研修を受けることになるので負担を感じるかもしれません。
しかし、教師としてこれから長く教壇に立つための基礎基本を知ることができる大事な研修です。
この記事では初任者研修では何をするのか、目的も併せてご紹介します。

法律で義務付けられている初任者研修

まず、初任者研修のそもそもの位置づけや実施方法について説明します。

初任者研修の法的な位置づけ

初任者研修は「教育公務員特例法第23条」で定められた法定研修であり、既にこの研修を受けたことがある初任者以外は受けなければいけません。
実施する主体は都道府県または指定都市、中核市のそれぞれの教育委員会が実施しています。

研修は2つに分かれており、「校内研修」と呼ばれる研修は週に10時間以上で、年間300時間以上、学校内の指導教員、または指導を専門に受け持つ教員がついて学びます。
主に授業方法や学級経営に関することを学ぶことが多く、同じ学校に所属している教務主任やベテラン教員が指導教員になるので、実務的なことを学ぶことができます。
もう1つが「校外研修」です。この研修は、年間25日以上受ける必要があり、教育委員会が主催する研修に参加して、特別支援学校の見学や宿泊行事に関する研修などを行います。

初任者研修の実施方法

初任者研修の実施方法は、学校や教育委員会によって異なります。

校内研修の場合、授業前に指導案を作成し、実際に授業を行い、授業後に内容ややり方について指導教員から指導助言をもらう流れが一般的です。
また、教育相談という形を取り、授業や学級経営で初任者が困ったことを指導教員に話し、解決の手立てを教えてもらう研修を行っているところもあります。

校外研修の場合、出張として学校の外へ出ていき、特別支援学校や各自治体に設置されている教育センターに出向いて研修を受けます。
宿泊研修も、市や県が保有している施設を貸切って研修が行われます。

最近は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、研修もオンライン化が進んでいます。
リモートによる研修やオンデマンドのビデオ機能を利用したeラーニングを実施している自治体もあります。

初任者研修で学ぶことと目的

初任者研修で学ぶことは主に次のようなことを学んでいきます。
教員の研修は、一定期間研修期間を設けて、その後に仕事をするのではなく、仕事をしながらスキルを高めていく(OJT方式)が主流です。

①教科指導に関する研修

初任者研修で、一番重要ともいえる研修が教科指導に関する研修です。
この研修は主に校内研修で行われるもので、実際に授業をしている姿を指導者に見てもらい、その後に反省会を行います。

指導のポイントは、授業準備(教材研究)、授業時の発問や板書、そして子どもの評価になります。授業は「導入→展開→まとめ」の流れが基本になります。
初任者がまずこの流れに沿って授業をすることができているか、授業時間(およそ45~50分)の中で終わることができているのかを指導教員は確認します。
初任者は、まず「時間内に・流れを意識した授業」をできるよう意識しましょう。

もう1つ授業と関連してくるのが学級経営です。
朝の会から始まる1日の流れはできているか、給食指導や清掃指導は適切か、
クラス内で人間関係を把握できているのかを初任者の目線ではなく、
経験豊富な目線から見て確認し、必要があれば初任者に指導・助言するのも教科指導の1つです。

②いじめ・不登校対策に関する研修

2つ目に初任者研修で実施されることが多い研修は「いじめ・不登校」に関する研修です。
近年教育現場で、大きな問題となっている「いじめ・不登校」をどう解決していくのか、
また、どうしたら「いじめや不登校」が起こりにくいクラスにすることができるのかを研修します。
初任者は、いじめや不登校の予兆を見逃して、事態が悪化してから気づくことが多くあります。

しかし、実際は子どもから悪化する前にSOSを出していることが多く、それに気が付かずに「早期発見・対応」できなかったことが状況の収拾を遅らせる要因になっています。
初任者研修では、いじめや不登校の予兆を「早期発見・早期対応」できるように児童生徒をどう見ていくのか学ぶ研修が組まれていることが多いです。

③特別支援教育に関する研修

特別支援教育というと特別支援学級の担任にのみ関係があるような気がしますが、それは大きな間違いです。
特別支援教育は、通常学級の教育に通じる部分も多く、児童生徒の発達に不安を感じた場合には、慎重にかつ迅速に対応しないと適切な支援を受けることができずより発達が遅れることになります。
特に最近では「グレーゾーン」と呼ばれる「ちょっと発達障害かも」という子どもが増えており、こうした子どもへの対応策を学びます。

特に重要なのは、「発達障害という判断を先生が絶対にしないこと」この判断ができるのは医師のみです。
したがって、発達が遅れているからと言って支援方法について適切な手順を踏んで手続きしないと大変なトラブルになります。
周囲や外部とどう協力していくのかを学ぶ研修が設定されていることが多いです。

④地域の実情に合わせた研修

4つ目に学ぶことが「地域の実情に合わせた研修」です。
教育課程は文部科学省から基本方針は示されるものの各自治体や学校で柔軟に変更できるようになっています。
そこで初任者研修を実施する地方自治体や各市では、それぞれの実情に合わせた研修を実施しています。
例えば、水泳指導を担任が担うところでは水泳指導に関する研修会をしたり、地域の施設を利用する授業が行われているところでは実際に施設に行って研修をしたりします。
校外研修の1つとして位置付けられることが多く、独自性のある研修が行われます。

初任者研修でやることが多い「課題研究」

初任者研修の一環として行われることが多いのが課題研究です。
これは、大学の卒業論文制作と似ていますが、初任者自身が1年間の課題を決め、課題の解決に取り組み、最後に発表したり、論文にまとめたりするものです。
中堅教諭資質向上研修(5年経験者や10年経験者)の準備段階として取り入れられていることが多いです。

課題を把握し解決に向けて取り組む研修

課題研究は、初任者が自らの課題を年度当初に設定します。
学級経営に関する課題を見つける人や教科の指導に関する課題を設定することが多く、クラスの実態に合わせて課題設定します。課題が決まったら、その解決に向けて手立てを打ちます。

「仲の良いクラスにする」という課題を決めたのであれば、「仲の良いクラス」にするため初任者は何らかの手立てをうちます。
例えば「クラス会議を毎週金曜日に行う」「道徳の授業を充実させる」といったことを1年間かけて実行します。

課題研究論文を作成し、発表する

課題を決めて実行したら終わりではありません。
研究である以上、検証とまとめの作業が必要になります。検証するためには、アンケートを取ったり、ポートフォリオ評価を利用したりすると子どもの変容が分かりやすいです。
根拠となる数字が示せると、手立ての有効性が分かりやすくなります。

全ての結果が出そろったら論文のようにまとめて終了です。
場所によってはプレゼンテーションをしたり、他の初任者がどのような研究をしているのかお互いに聞き合ったりする場があります。
教員は教育公務員特例法で「絶えず研究と修養に努めなければならない。」と規定されています。今後、年次が上がると「教育研究論文」を書くことが出てくるので、初任のうちに作り方、書き方を学びましょう。

初任者研修は教員としての基礎を積む場

ここまで初任者研修のやることや目的について解説しました。
初任者研修は、教員としてスタートをする初任者の基礎を積む場です。
初任者は、まだまだ失敗が許される段階であり、それを修正していくのが指導教員になります。
研修中に分からないことはどんどん聞き、自分の力としていきましょう。
年次が上がると周囲から教えてもらうことができる機会はどんどん減っていきます。
失敗を恐れず、様々なことに挑戦して教師力をアップしましょう。

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